マクラーレン720S GT3 へのガラスコーティング【スーパーGT参戦車両】

荒聖治選手、アレックス・パウロ選手が乗車するマクラーレン720S GT3へラストコーティングの施工をさせていただきました。ラストコーティングのコーティング剤は空気抵抗を低減させる効果があります。

レースではあらゆる要素が絡み合い勝利に導かれますが、少しでも貢献できるよう施工した記録をここに残します。

1. マクラーレン 720S GT3 について

画像元:McLaren 720S GT3

マクラーレンは過去のレース史に数々の記録を残しています。中でも720S GT3は設計、開発、そして製造までモータースポーツ部門が一連を担当し作られたモデルのため、今回のスーパーGT300への参戦は大きな期待が寄せられています。参戦が発表される前から、『怪鳥』復活が噂されファンとしては待ちわびたレース参戦となりました。

2. 720S GT3 へのガラスコーティング施工の記録

2-1. 空気抵抗を低減させるガラスコーティング

今回、ラストコーティングはスピードへの挑戦として採用されることになりました。開発したコーティング剤が球体実験で空気抵抗を3%低減することが明らかとなったからです。レースはスピードだけでは勝利には結びつきませんがわずかなチャンスでも貢献できるよう施工させていただきました。

2-2. ウィング部

まずはウィング部から着手しました。手際よくムラなく丁寧に塗り込んでいきます。

2-3. アンダーボディ

ボディの底に当たる部分です。表に出てくるところではありませんが、風の影響を受ける部分には全て施工をしていきます。ラストコーティングはカーボンにも施工が可能なガラスコーティング剤を開発しています。

2-4. ボンネット

塗布している際も風の流れを感じさせられるラインです。以前にもマクラーレン『セナ』へ施工しましたが、この車両のボディはラッピングとなります。ラストコーティングはラッピングへのガラスコーティングももちろん可能です。

紫外線カットの機能を備えるため、紫外線による劣化を大幅に抑えることができます。スポンサーのカラーを損なうことなく走行を続けることができます。

2-5. ヘッドライト

ここからフロントセクションに入ります。ヘッドライト周辺の樹脂パーツも念入りに施工を進めます。今回この車両が戦うカテゴリーはGT300なのでヘッドライトは黄色になっています。

2-6. フロントスポイラー

折り返しが多く風が当たることをイメージしながら施工を行います。グリルのメッシュパーツへもコーティングを施しています。なおカーボンパーツへの施工も得意とします。白けやすいカーボンパーツにおいても紫外線カットが機能することで長期間にわたり色味を維持することができます。

2-7. ドア(ディヘドラルドア)

そのほかのパーツ同様、ドアも折り返しが多く施工面積は広範囲となります。フロントからの風がドアを沿って流れるようになっています。折り返し部にも塗り残しがないようガラスコーティングを塗布しています。

2-9. ダクト内部への施工

ダクト内にも当然風が流れるため、少しでも効率が高まることに期待しダクト内部にもラストコーティングを施工しています。

3.耐熱性のあるガラスコーティング

ラストコーティングは熱にも耐性があるため、エンジン部やマフラーへのガラスコーティングができます。完全無機質のガラスコーティングのため、1200度までであれば熱による劣化がありません。

3-1.マフラーへの施工

ラストコーティングの特性として、耐熱性もあげられます。マフラーなど高温になるパーツへも施工が可能です。さらに防錆性もありますので、一般的には塩害などによるサビからパーツを守ることができます。とは言えレース車両のマフラーともなると消耗品とも言われていますので早いペースで交換が想定されますが、少しでもパーツのもちにも貢献できるはずです。

4. 鉄粉が刺さらないホイールコーティング

ラストコーティングのホイールコーティングはブレーキダストがつきにくく汚れが落としやすいことで定評があります。レースでは相当数のホイールを使用する上、激しい走行で汚れも甚だしく洗浄も苦労が伴います。少しでも軽減できるようホイールにも専用のガラスコーティングを施しました。

鉄粉が刺さらないスペックは公的機関でエビデンスを取得済みですがレースでの激しい走行は想定の範囲外です。どこまで効果を発揮できるのか、開発側としても非常に気になるポイントです。キャリパーへもコーティングを塗布しています。

5. マクラーレン720S について

720の数字は、この車両に与えれられた馬力720PSに由来しています。デザインはホオジロザメをモチーフとして描かれています。中でも多くのファンを虜にしたのが『ディヘドラルドア』と呼ばれる跳ね上げ式のドアです。スピードだけでなく、美しさも兼ね備えるスーパーカーはマクラーレンの歴史で培われた賜物です。

5-1. スーパーGTへ参戦するマクラーレン720S GT3

カーボンモノコックボディに4.0リッターのツインターボエンジンを搭載するマクラーレン720S GT3は、SUPER GTのレギュレーションに定められた毎レース変更されます。

レースの公平性を保つための性能調整(BoP:Balance of Performance)によって、ウイエイトハンデを負ったり最大過給圧を抑制されたりすることがあるため、与えられた条件下でいかにパフォーマンスを最大化するか、ドライバーを含めチーム一丸となってレースに挑んでいます。

5-1-1. チームゴウとマクラーレン、そしてラークカラーについて

1996年、マクラーレン F1 GTRで参戦した車両は圧倒的な速さでシンボル的な存在となりました。ラークの鮮明な赤色のカラーリングでさらに注目を集めます。

この車両を走らせたのが日本のレーシングチーム『チームゴウ』です。チームゴウの実績は華々しく、数々のレースで好成績を残しています。

中でも2004年のル・マン24時間レースでは、ドライバーにリナルド・カペッロ選手、トム・クリステンセン選手、そして荒聖治選手を起用し、総合優勝を果たしています。

その意味でも、チームゴウと荒聖治選手、そして一斉を風靡したラーク・カラーのマクラーレンを彷彿させるカラーリングで2019 AUTOBACS SUPER GTに参戦するマクラーレン720S GT3、ファンをはじめ各関係者が大きな注目を寄せています。

さらに、岡澤優監督、土沼広芳チーフエンジニアと、チームの体制は数々のレースで実績をあげてきたメンバーを中心に強力な布陣を敷いています。

まとめ・施工後記

ラストコーティングのコーティング剤を塗布することで、時速200kmを風を受けたときに空気抵抗が3%低減させることが風洞実験で明らかになりました。今回実車両でどのような結果が出せるのか、レースというあらゆる要素が絡み合い勝敗を分ける状況下では一概に成果を測ることはできません。しかし、0.001 秒ですら順位に差が出る世界において私たちの技術が部分的にも貢献できることは大変光栄なことです。

レース車両への施工はこのマクラーレン720S GT3が初の試みとなりました。一つ一つのパーツを手に取り触れることで、素材一つの形状や軽量化、効率化にたいする並並ならぬ努力を感じさせられます。特にレース界における技術投下は甚だしく、最新のテクノロジーでの挑戦が繰り広げられています。最前線で走っているすべての車両がわずかな微差により勝敗と明暗が分断される世界には日常にはない緊張感がありました。

ラストコーティングはディテーリングを通じたクルマの美しさをお届けるサービスを提供していますが、勝利もまた美しいものであると理解しています。歴史という長い時間をかけて培われた技術の上にさらにコーティングという技術で順位に貢献できるのであればそれは仕事冥利につきます。

花形のレースに携わる機会をくださった、荒聖治選手、セルブスジャパン、そしてチームゴウの皆様に感謝するとともに、ご健闘をお祈りいたします。